「羽子板」と聞いて、だれもがまず頭に浮かぶのは羽根つきでしょう。室町時代の「看聞御日記」には、宮中で羽根つき大会が催されたことが記録に残っています。これによると、「公爵や女官が男組と女組にわかれて勝負を行い、負けた組が酒を振る舞った」とあります。
この羽根つきを、胡鬼(こき)の子勝負といい、正月の年占いとして、末広がりの形をした胡鬼板(羽子板)で胡鬼の子(羽根)をつき、その年の平安を祈願したといわれています。また神社などでも魔除けや占いに使われていたようです。その後一般庶民の間にも広まり遊具用と装飾用に分かれていきます。
羽根の黒い玉は「ムクロジの実」で、これも非常に縁起の良いものです。ムクロジとは、漢字で「無患子」と書き、子が患(わずら)わ無(な)いように、という願いが込められています。