ひな人形を通じて 家族の思い出を積み重ねる

接遇・マナーコンシェルジュ
食育指導士
重森 美由紀さん
長男が産まれた時に鯉のぼりや破魔矢を贈って、誕生を祝ってくれた両親。次に産まれるのが女の子だと分かると、「ひな人形を用意してあげないと」と張り切ってくれました。
購入にあたっては両親と一緒に人形センターへ赴き、私の意向に沿って選んでくれました。お店には様々な種類のひな人形が並んでおり、顔も衣裳もそれぞれ素敵で悩みましたが、赤系の着物を着たあるお雛様を一目見た瞬間に「これだ!」と思ったのを覚えています。それが我が家に来た一組目のひな人形です。
その後次女が産まれた時にも、長女の時と同様に両親はひな人形を贈ってくれました。すっきり切れ長の目が大人っぽい一組目のひな人形に比べ、ピンク色の着物を着たお雛様は可愛らしい顔立ちが印象的でした。そして三女が産まれた時には、「七段飾りが二組もあり、さすがに収納できない」ということで、残念がる両親にも納得してもらいました。三女への愛情もたっぷり込める意味で、我が家ではどのお人形が誰のものということではなく、三姉妹共有のお雛様となっています。
私自身が雛人形を持たなかったので、両親は「孫に必ず贈ってあげよう」と思ってくれていたようで、その気持ちがとても嬉しかったです。
娘達が小学校に上がるまでは二組のひな人形を毎年交互に飾って、雛祭りのお祝いをしていました。娘たちに被布を着せるととても喜び、ちょっとしたお姫様気分を楽しんでくれていたようです。
雛祭りはもちろん、端午の節句や七夕など、季節ごとの催事を家族で祝うことはとても大切だと思います。母から娘へ、そして孫へ、このように伝統文化を継承していくことは、心の豊かさを育み、そしてコミュニケーションのきっかけにもなると考えます。
特に食と季節行事は切っても切り離せないもの。いつも楽しそうにひな人形を飾ってくれた義父も亡くなってしまい、今では七段飾りを全て出すことはできませんが、3月3日をちらし寿司や蛤のお吸い物でお祝いすることは我が家の定番す。子ども達が将来家庭をもっても、このような季節行事や行事食を楽しんでくれるのではないかと思っています。
将来、4人の子どもたちにも女の子が産まれたら、私が母にしてもらったように、ひな人形を贈って誕生を祝いたいと思っています。ひな人形を通じて家族の楽しい思い出を積み重ねていけるよう、子ども達も雛祭りの楽しさと伝統を引継いでいってくれればと願っています。